積立投資のように長期の資産運用では、ポートフォリオが重要で、投資成果を決める大きな要因になります。またリスク許容度により、ポートフォリオが異なってきます。
長期投資で安定して運用益をあげるには、ポートフォリオのバランスを定期的に確認しリバランスを行っていくことが大切です。
リバランスは、株式、債券、投資信託などの価格変動により、ポートフォリオのバランスが崩れてしまった状態を元の状態に戻すことです。
リバランスは何故必要になるのか?
株式、債券、投資信託などは、購入時から時間が経過すると市場の価格変動が生じるため、ポートフォリオが当初の計画と変わってしまい安定した資産運用ができなくなってしまう可能性があります。これを避けるために、リバランスを定期的に行う必要があるわけです。
ただし、積立投資を始めて2~3年は積み立てた額が小さく、多少ポートフォリオのバランズが崩れていてもリスクやリターンへの影響が小さいため、リバランスを考える必要はありません。4~5年して残高が増えてきたら、初めてリバランスを意識すれば充分です。
リバランスの方法
リバランスの具体的なやり方は、売買をするか、今後の積立配分を調整するかになります。
たとえば資産Aと資産Bを50:50の配分で積立を行った結果、ある時点でAが100万、Bが120万になっていたとします。この状態を例に以下の説明をします。
売買によるリバランスの方法
買い増しによるリバランス
買い増しによりリバランスする場合は、Aに20万を追加して120万にすれば、元のポートフォリオ通りの50:50に戻ります。
この場合、20万を積立分とは別に追加投資することになり、ある程度の資金をリバランス用にプールしておく必要があります。
最初の段階でノーロードの商品を選ぶことで、購入手数料の発生を防ぐことができます。
売却によるリバランス
売却によりリバランスする場合は、Bを20万売却して100万にすれば、元のポートフォリオ通りの50:50に戻ります。
売却時に利益が出ている場合は利益に対して税金がかかりますし、解約手数料(信託財産留保額)がかかるので注意が必要です。
売買によるリバランス
売買によりリバランスする場合は、Bを10万売却してAを10万購入し、110万づつにすれば、元のポートフォリオ通りの50:50に戻ります。
売却時に利益が出ている場合は利益に対して税金がかかりますし、解約手数料(信託財産留保額)がかかるので注意が必要です。
最初の段階でノーロードの商品を選ぶことで、購入手数料の発生を防ぐことができます。
売買によるリバランスのまとめ
税金や手数料を考えると、リバランスを行いすぎるとかえってマイナスになってしまう可能性があります。税金のことを考えると、買い増しによりリバランスをしたほうがよいでしょう。
積立配分の調整によるリバランスの方法
一括で売買するのでは無く、今後の積立金額の配分調整によってリバランスすることも可能です。
毎月の積立額がA、Bどちらも1万だったとすると、Aを1万2500円、Bを7500円とする事で、40ヶ月で元の50:50に戻ります。
元のポートフォリオに戻すのに時間が掛かりますし、その間の価格変動で、バランスが変化しますが、そこまで厳密に考える必要は無いでしょう。
積立配分の見直しは売買のように税金や手数料の負担もないですし、通常の積立の数倍 ~ 数十倍の売り買いをする訳でもないので、積立に対する影響は大きくは無いと思いますが、ドルコスト平均法が崩れるのが気になる点です。
リバランスのタイミング
定期的にリバランス
初心者には定期的なリバランスが向いています。時期が来たら実施することで、値動きによって躊躇してリバランスのタイミングを失うということがないからです。
具体的には、1年に1回程度、資産の確認を兼ねて実施すれば十分です。
乖離率でリバランス
積立投資を始めた時に考えていたポートフォリオのバランスと実際の保有資産のバランスの差異の度合いを表したものを「乖離率」と言います。
一般には、プラスマイナス10%になったらリバランスをするようです。
乖離率でリバランスをする場合の課題は、一定期間毎、例えば月一位の間隔で乖離率の確認が必要となることです。積立投資のメリットである『ほったらかしにしていたら知らぬ間に増えていた。』というのが無くなり手間が増えるのが残念ですね。
リバランスは本当に必要か
ここまでリバランスの必要性を説明してきましたが、「ポートフォリオの配分に従って積立投資しているかぎり、細かいリバランスの必要はほとんどない。」といった話も聞きます。
私の考えは、税金や手数料を負担してまでリバランスするのはやりすぎかと思っていますし、積立配分の調整によるリバランスで充分だと思っています。
市場の価格変動に応じてリバランスをするというよりも、世代毎のリスク・リターンの考え方からポートフォリオの配分をアクティブに見直していく際にリバランスしていくのが賢いやり方だと思います。
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