米国株の『ダウの犬手法』について検討してみた

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2019年7月に最低手数料が見直され、マネックス証券、SBI証券、楽天証券のネット証券大手3社の米株最低手数料が廃止となりました。それに伴い記事内の手数料とそれを用いた計算結果を見直ししています。

米国株のインカム・ゲイン狙いで有名な投資手法としては、『ダウの犬銘柄』がありますね。オーソドックスな投資手法ですが、特別な知識・経験が無くてもできるおすすめの投資手法です。

『ダウの犬銘柄』って何?

ダウというのは、ダウ・ジョーンズ・インデックスの算出に使用され「ダウ工業株30種平均」のことです。「ダウ平均」と省略されることもあります。以前はニューヨーク証券取引所(NYSE)の上場企業のみだったので、また「ニューヨーク・ダウ」、「ニューヨーク平均株価」などと呼ばれることもありますが、現在ではNASDAQ上場企業も含まれています。アップル、アメックス、シェブロン、J&J、コカ・コーラなど、そうそうたる顔ぶれです。

ダウ工業株30種のうち、高配当の株10銘柄を『ダウの犬銘柄』と呼びます。高配当であるということは株価が低迷していると捉えることもできるので、配当と値上がり益の両方を狙う一石二鳥の戦略です。

2019年の『ダウの犬銘柄』

2019年の『ダウの犬銘柄』を調べてみました。以下の10銘柄が『ダウの犬銘柄』です。ちなみに『ダウの子犬銘柄』は、ExxonMobil、Verizon、Pfizer、Coca-Cola、Ciscoということになります。

※株価-1、配当率-1は2018年12月31日時点、株価-2、配当率-2は2019年5月1日時点の株価、配当率です。

シンボル 銘柄 株価-1 配当率-1 株価-2 配当率-2 伸び率
IBM International Business Machines 113.67 5.52% 140.56 4.61% 23.7%
XOM ExxonMobil 68.19 4.81% 78.67 4.42% 15.4%
VZ Verizon 56.22 4.29% 56.52 4.26% 0.5%
CVX Chevron 108.79 4.12% 117.81 4.04% 8.3%
PFE Pfizer 43.65 3.30% 40.77 3.53% -6.6%
KO Coca-Cola 47.35 3.29% 48.59 3.29% 2.6%
JPM JP Morgan Chase 97.62 3.28% 115.16 2.78% 18.0%
PG Procter & Gamble 91.92 3.12% 104.93 2.84% 14.2%
CSCO Cisco Systems 43.33 3.05% 55.58 2.52% 28.3%
MRK Merck 76.41 2.88% 78.72 2.79% 3.0%

5月1日時点の配当率は昨年末時点と大きな違いは無いが、大きく株価を上げたIBMとCiscoは、それに合わせて配当率が下がっています。ただ大きく配当率が変わっているかというと概ね2%後半から5%の間に収まっています。

現在『ダウの犬銘柄』対象外の3M、Walgreensの配当率が3%以上なので来期は対象銘柄となるかもしれません。どちらも株価が昨年末から下がっています。
入れ替わりに落ちるのは、5月1日時点の配当率から推測するとJP Morgan ChaseとCiscoということになります。

こうやって見ると高配当であるということは「値下がりして割安となったところを買い、値上がりして割高になると手放す。」ということを意味しているというのが理解できますね。

ただし、配当金には税金がかかります。米国で10%、日本で20%課税されることを考慮して判断しないといけません。

「ダウの犬銘柄」を確認したい場合にはこちらのサイトが便利です。
DOGS OF THE DOW公式サイト

『ダウの犬銘柄』を日本で購入するには?

昔と違って今の投資環境は、米国株への投資も簡単です。インターネット証券で米国株取引ができるのは、マネックス証券SBI証券楽天証券の3社です。
私は、楽天証券でつみたてNISAをやっているので、楽天証券を中心に検討してみました。

取扱銘柄数

米国株の個別銘柄数を3社で比較すると以下のとおりです。

証券会社 銘柄数
マネックス証券 約3080銘柄
SBI証券 約1438銘柄
楽天証券 約1765銘柄

取り扱い銘柄数ではマネックス証券の方が良いですね。ただ、私の場合は今の目的からするとダウ・ジョーンズ・インデックスの米国株が買えれば十分なので、楽天証券でも全く不便は感じないです。(現在の『ダウの犬銘柄』と2020年に対象となる可能性のある3M、Walgreensが楽天証券で買えるのは確認ずみです)

売買手数料

楽天証券の売買手数料は以下のとおりです。

マネックス証券とSBI証券も同じです。というよりも元々は、長い間マネックス証券が最安だったところに、SBI証券がマネックス証券と同額まで値下げし、更に2017年9月からは楽天証券も同額に値下げとなったそうです。さらに、2019年7月に最低手数料が見直され、マネックス証券、SBI証券、楽天証券の最低手数料が廃止となりました

最低手数料: 5ドル ⇒ 0ドル(2019年7月)
手数料体系: 約定金額の0.45%
最低手数料: 20ドル

手数料は、約定金額が4,444$以下なら約定金額の0.45%、4,444$以上なら一律20$ということです。
日本円では111円/$とすると、約定金額が493,284円以下なら約定金額の0.45%、493,284円以上なら一律2,220円ということです。

例えば、元手が100万だとします。
・10社分の『ダウの犬』を買ったとすると、1社あたり10万円分の株を買うことになり、その時の手数料は450円、10社合計の手数料は4,500円です。
・5社分の『ダウの子犬』を買ったとすると、1社あたり20万円分の株を買うことになり、その時の手数料は900円、5社合計の手数料は4,500円です。

ちなみに配当率が平均して3%だとすると、100万なら3万の配当となりますから、年間で約2.5万の利益ということですね。
元手が100万ほどあれば、手数料の合計に違いは無いため、10社分の『ダウの犬』を買ってもよさそうです。

一方で、元手が30万だとします。
・10社分の『ダウの犬』を買ったとすると、1社あたり3万円分の株を買うことになり、その時の手数料は135円、10社合計の手数料は1,350円です。
・5社分の『ダウの子犬』を買ったとすると、1社あたり6万円分の株を買うことになり、その時の手数料は270円、5社合計の手数料は1,350円です。

同様に配当率が平均して3%だとすると、30万なら9千円の配当となりますから、年間で7,650円の利益ということですね。
元手が異なるので利益も異なりますが、最低手数料の廃止により、少額で購入しても、手数料も安くなるため10社分の『ダウの犬』を買ってもしっかりと利益がでるようになりました。

為替手数料と外貨決済対応

米国株の場合は、買いの時の日本円から米ドル、売りの時の米ドルから日本円に両替するときにそれぞれ片道25銭の為替手数料がかかります。これはマネックス証券とSBI証券も同じ金額です。

米ドル/円の為替手数料
買いのスプレッド +25銭
売りのスプレッド -25銭

『ダウの犬手法』は毎年年末に銘柄をいくつか入れ替えるので、その時に米ドルのまま決済ができるかも重要となります。楽天証券の場合、米ドル決済が可能なので、銘柄を入れ替える際は、対象外となった銘柄を売って米ドルにした後、その米ドルを使って新たに対象となった銘柄を購入する。いちいち日本円に両替しないようにすることで無駄に為替手数料を払う必要がなくなります。マネックス証券とSBI証券は調べていませんので、興味のある方はご確認下さい。

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